みずほ台塾長物語 第6話

こうやってみずほ台校舎の舵取りをスタート直後からミスってしまったので、

途中で進路が変われば乗組員たちも気がつくが、

ハナから全力で見当違いな方向に猪突猛進していれば気が付かない。

船長が舵を握り、望遠鏡で進路を見てひたすらに直進する。

こんなの船ではない。

船長は、いろいろな情報を確認して、最適な進路を取るべきなのに、

塾長と名乗っているやつが暴走して、塾長をしていなかったのだ。

そりゃ、歯車が狂う。

授業前に電話がなる。いつものように電話にでると、

『今日で塾を辞めさせていただきます。』という内容だった。

動揺しながら、それでも一生懸命に授業をした。授業にも電話がなる。

『今月で塾を辞めさせていただきたい。』そんな日が、何日も続き、

息巻いて出発した校舎の生徒数がどんどん減っていく。

先生同士の会話も減っていった。

 

次第に自分自身、どんどん塾長としての自信がなくなっていき、

先生たちへの励ましの言葉も、乗り越えよう!と思える熱い話もすることができなくなっていき、

授業後の反省会も形だけになっていった。

生徒の退塾も止まらない一方で、

鶴瀬校舎は、どんどんと生徒数を増やしていった。

こうやって、本物の塾長と形だけの塾長の圧倒的な差を痛感させられたのであった。

 

 

《つづく》

この記事を書いた人

宮永 裕介