朝、息子が玄関に走っていきました。
「お野菜、お水飲みたいかな」
3歳。まだ字も読めない、でも毎日、自分で育てた野菜のことを気にかけている。その姿を見ていて、思うことがたくさんあります。

種から芽が出た日
コマツナ、ラディッシュ。白いプランターボックスに、小さな種を蒔いたのは数週間前のことです。最初は「芽が出るかな?」くらいの気持ちでした。
息子が外に飛び出して行った時の声。
「あ!お野菜、起きた!」
本当に小さな、か細い芽。でも息子の目には、それが新しい命そのものに見えたんでしょう。その時から、毎日の習慣が始まりました。
毎日、忘れない
3歳なので、正直に言って世話はちゃんとできていません。時々、水のやりすぎで土がぐちゃぐちゃになったり。時々、日当たりを気にせずプランターを移動したり。
でも、朝起きたら「お野菜、元気?」と確認する。雨の日は「雨さんがお水くれるから、今日はお休み」と判断する。そういう「意識」が、毎日、毎日、積み重なっている。
3歳の子が、毎日、何かのことを思い続ける。これって、実は大変なことなんだと気づきました。
「大切にする」ってこういうこと
実は最初、私たちは期待していました。「子どもが野菜を育てることで、責任感が育つ」「食育になる」「観察力が養われる」。そういう、ちょっと教科書的な期待です。
でも毎日を見ていると、それは違うんだなって感じるようになりました。
大切にするって、感情じゃなくて行動なんですね。
息子は別に「この野菜が大好き」という感情から世話をしているわけじゃないと思います。でも毎日、毎日、行動し続けることで、初めて「大切」が形になっていく。
朝日が出たら、「あ、暑くなるかな。お野菜、大丈夫かな」と考える。雨の日は、「外は濡れるから、プランター動かそう」と判断する。
その小さな判断の積み重ねが、本当の「大切にする」なんだと思います。
育てることの大変さ
正直に言うと、野菜を育てることは、親にとっても大変です。
毎日、水のやり具合をチェックする。虫がついていないか見守る。天気予報を気にしながら、プランターの置き場所を決める。子どもが育てているから、親も世話をしなきゃいけない。
でもその大変さの中に、実は大事なものが詰まっていると感じます。
自分のために何かをする。それは簡単です。でも「この小さな命のために」と思って動く。その時間は、親も子も、何か大切なものを学んでいる気がするんです。
「スーパーの野菜」との違い
先日、育てたコマツナが少し食べられるくらいに育ちました。息子と一緒に収穫して、一緒に食べました。
「自分で作ったから、おいしい」
子どもたちが言う言葉です。でも本当に、スーパーで買う野菜とは味が違うんですよ。
それは野菜そのものの味じゃなくて、毎日の「気にかける」という行為が、味に変わっているからだと思います。朝、水をやって、「きれいに育つといいな」と思う時間。雨の日に、「今日雨だから傘を差してあげるね!」と考える時間。その全部が、野菜の中に入っているんじゃないかな。
親として、気づいたこと
3歳の息子が野菜を育てている姿を毎日見ていて、親として気づかされることがあります。
私たちは子どもに「大切にしなさい」と言います。でも本当は、親自身が「大切にする姿勢」を見せることが、何よりの教育なんだと思います。
親が、合間に野菜の水やりをチェックする。親が、天気予報を気にしながら、プランターの位置を決める。そういう、何気ない親の行動を見ながら、子どもは「大切にするって、こういうことか」と学ぶんです。
塾の授業では教えられない。教科書にも書いていない。でも確実に、子どもの心に刻まれていく、その姿勢。
小さなプランターの中で
毎日が同じではありません。時には、虫がついて、「あ、だめかな」と思う日もあります。時には、うっかり水をやりすぎて、「ごめんね」と思う日もあります。
でもそこから、また育つ。その繰り返しです。
完璧じゃなくて大丈夫。毎日、気にかけることが大事。毎日、向き合うことが大事。失敗したって、また明日がある。
3歳の息子が、毎日、白いプランターボックスの前に立つたび、そんなことを思います。
小さな野菜は、小さな子どもに、本当に大事な何かを教えてくれているんだと感じます。
塾で学べることは、限られています。でも塾の外で、子どもたちが何かを育て、守り、大切にする経験。それは、どんな授業よりも、子どもの心を育てる気がします。
エイメイ学院では、子どもたちの「学び」は教室の中だけに限りません。毎日の生活の中で、自然と触れ、命と向き合う経験こそが、本当の教育だと考えています。
この記事を読んでくれたお子さんも、お家でプランターを置いてみませんか?小さな野菜の中に、大事な何かが、きっと詰まっています。
